八ヶ岳 厳冬期 赤岳

日程:2008年2月10(日)〜11日(月)
山域:八ケ岳
形式:雪山登山と雪訓
メンバー:すずとも、つくる、ななこ(CL)
行程:
10日(晴れ)
、、茅野駅発バス09:35〜美濃戸入口10:15ー35〜美濃戸山荘11:50
、、ー12:20〜赤岳鉱泉テント場14:00ー15:20〜ジョウゴ沢15:40
、、ー16:30〜テント場16:45

11日(晴れ)
、、テント場06:25〜行者小屋07:10〜地蔵仏08:30〜赤岳展望荘
、、08:40〜赤岳頂上09:30ー10:00〜テント場11:00ー12:40〜
、、美濃戸山荘13:35〜赤岳山荘13:50ー14::20〜美濃戸入口15:10
、、〜茅野駅15:30

*何年1度あるかないかの好天日に2日間とも恵まれ、
地蔵尾根〜赤岳山頂〜文三郎尾根 ずっと快晴で無風。気温ー13℃
*テント設営料金1000円/1人 水は小屋で無料でわけてもらえる。
*全体的にトレースしっかりついていて、問題なし。

今回は、報告者すずとものハツヤツガタケである。
初の八ヶ岳が厳冬期なんて偉そうに!と満を持しての挑戦だ。
日本の山岳ロマンの48%は眠っているだろうあの八ヶ岳へ登れるなんて非常にワクワクする。

八王子で乗り換えて、松本行きの中央線に乗ることになった。20分ほど日の出の時間帯の駅のホームで 突っ立っていたが、ぜんぜん寒くない。今日はあったかそうだ。待ち時間が長いので自販機でしるこドリンクを買おうとしたら、それだけ売り切れだった。幸先 悪いな。命の水(しるこ)がなくてもやっていけるのだろうか。
高尾からつくるさん、ななこさんが乗車。ところで松本行きは八王子始発なので、八王子で乗り換えると座れてナイスですよ。
茅野に到着するが、バスまで時間がない。茅野の駅はSuica対応ではないため、Suicaで入場した人は全員窓口に並び清算・カード再利用手続きをとら ねばならない。かく言う私もこの一人で、登山者の列に「バスが出ちゃう~!!」と言いながら並んだ。次回からは切符を買うほうがスマートかつオシャレなの でそうしようと思った。(注:しかしながら、バスは並んでいる登山者を乗せるためある程度発車時間を遅らせて待ってくれるらしい)バスは乗車した人が全員 座れる程度の込み具合。美濃戸口につき、だらだら続く林道より登山を開始する。

アイゼン未装着のため、一歩ずつ滑り歩きにくい。天気がよく風もないため、体感気温が高くなってく る。15分も歩いたら、汗ダックダクの湯気出まくりである。林道のほぼ同じくらいの場所で、同じバスで着き、同じ登山口から出発した暑くなってきた登山者 がみんな服を脱ぎ始める。厳冬期はどこいっちまったんだ!赤岳小屋のまえのミニ・アイスキャンデー(アイスクライミングのゲレンデ?)と記念撮影をし、そ のちょっと先にあるもうひとつの小屋で休止。なんとこの山小屋は、休憩料無料・茶・野沢菜無料サービスというすごい山小屋なのである。あったかいお茶をガ ブガブお代わり(死)し、アイゼンをはめ、元気に赤岳鉱泉に向かって歩き出す。入山者は非常に多い。団体もいる。この日に下山してくる人はみな口々に「昨 日は天気が悪かったのに今日はなんなんだ」とピーカンっぷりに驚いている。赤岳鉱泉に向かう道はトレースもしっかりついていて問題なく歩ける。道中、アン ザイレンした5歳児(男の子)を連れた家族を見る。もう歩きつかれたのかひもで引っ張っていってもらう状態でちょっとカワイイ。赤岳鉱泉に到着し、テント をはる。そして小屋の目の前の分岐からジョウゴ沢へ向かった。アイゼントレーニングと偵察である。
ジョウゴ沢に向かいながら思ったが、空の色が突き抜けるように青い。高度が高いのを差し引いても、空気中の水蒸気がとにかく少ないのか、明日もいい天気を 約束してくれるような色だ。ジョウゴ沢ではF2まで下見にいったが、3パーティ目撃した。そのうちのひとパーティはなんと年男・年女集団(御歳60!)の アイスクライマーたちで、赤岳鉱泉に戻ってみると2mくらいしか離れていないお向かいのテントのご近所さんだった。私も今年年女だが、60歳まで根気よく 登山ができるのか想像もできない。まずは12年後に継続できていることを願おう。

夜はつくね鍋である。やはりななこさんの食事はすごい。私はラーメンし か知らないので、食事係を勧められ(喜んで)今回辞退したが、辞退して本当によかった(おかげで鍋にありつけた)。これだけのものを軽く・無駄なく・おい しく作れるなんて本当に脱帽だ。夜は赤玉ワインをホット紅茶で割ったものを飲み、爆睡!!(私だけかも)テントの中は厳冬期の雪山らしく気温はだいぶ下 がったが、風がないため、寒くて寝られないほどではなかった。

翌朝はアタック日和の無風・快晴となった。前日聞き取りをした情報を元に比較的難易度の高い地蔵尾根 から山頂へ向かうコースをとることにした。一旦行者小屋に立ち寄り、遠くに見える北アルプス南部に歓声をあげ、あめ湯(Special Thanks to青田さん)に舌鼓をうち、尾根を稜線へ向かってサクサク 登り始める。
つくるさんとななこさんの間に挟まれ、つくるさんの動きを 見つつ、ななこさんに歩きかたやピッケルワークを確認してもらう。高度感「ありすぎ」の場面も多々あったが、 天気もよく体力もばっちりだったため、遠くの山々を見ながら(あれは美ヶ原〜とか言いながら)余裕しゃくしゃくで稜線へ出る。


しかしこの道中、常に上空を2台以上のヘリコプターがせわなく飛び回っていた。ほとんど自分たちの真上や、赤岳の頂上付近をぐるぐるいったりきたりしてい る。三連休の早朝に荷下ろしや撮影は考えられないので、「遭難か?」と不吉な考えが三人の脳裏を過ぎる。
稜線の「お地蔵様コーナー」(地蔵尾根の終了点・地蔵の頭)は風の通り道らしく、びゅんびゅん風が吹いてい? k。先を急ぎたいところだが、「隠れ石地蔵マニア」の私としては写真を一枚撮りたいところだ。無理やりお地蔵様を写真に収め、赤岳天望荘へ向かって歩き出 す。このお地蔵様はいつ誰が運んできたのだろう。いつか調べてみたい。
ヘリコプターのけたたましいプロペラ音がどんどん大きくなり、赤岳天望荘に到着したときその謎がようやく解けた。

一酸化炭素中毒で15人搬送/長野・赤岳の山小屋

11日午前5時15分ごろ、長野県茅野市の八ケ岳連峰・赤岳(2、 899メートル)の山小屋「赤岳天望荘」から「宿泊客が一酸化炭素中毒とみられる症状を訴えている」と茅野署に通報があった。長野、山梨両県警のヘリコプ ターなどで15人(男性10人、女性5人)を病院に搬送。消防によると、いずれも一酸化炭素中毒と診断され軽症という。ほかに5人が自力下山したものの体 調不良を訴え病院に運ばれた。(中略)茅野署は同日、現場を実況見分。ストーブが不完全燃焼を起こした可能性もあるとみて、スタッフらから事情を聴き、原 因を調べている。赤岳天望荘によると、宿泊客は43人。11日未明、談話室で寝ていた客が相次いで目まいや吐き気を訴えた。(SHIKOKU NEWS2008/02/11 17:28)

素敵な山小屋と評判の赤岳天望荘の周辺はヘリコプターの音と長野県警の救助活動により騒然としてい た。詳しい情報を得たのは下山してからであったが、山でこんな大きなトラブルは見たことがなかったのでただただ驚いていた。天望荘のHPを見ると、事件を 受け厳冬期の営業は自粛するとあったが、これに負けず、改善し、営業を再開してほしいと思った。山小屋がそこにあるから救われる命も多いのである。


さて、気を取り直して山頂へ向かった。風は止み、視界はスーパークリア。富士山もくっきり見える。山 頂でさんざん時間をかけたあと(他パーティとのおしゃべりに花が咲いてしまった)、下山開始だ。厳冬期の3000m級の山頂でこんなにゆったりできるの も、天気がよく無風な為であろう。下山開始直後、アンザイレンしていた子供の父親に呼び止められた。彼は奥さんと子供を赤岳鉱泉に残し、赤岳山頂まで来た らしい。「赤岳鉱泉に戻って、子供がいたら、硫黄岳を回って帰るから11時半には帰ると伝言してください」と頼まれる。下山してなにか使命があるのもいい もんだと引き受け、文三郎尾根をタカタカ下る。積雪が多すぎて、階段や岩場もみんな埋まっているから歩きやすい。

雪が深く、トレースが踏み固められて天然のプールの滑り台のようになっ た登山道で、つくるさんと尻で滑って遊んでいたら、ななこさんに「やりすぎると雨具が破けるよ」と脅されビビってやめた。行者小屋の手前でカモシカを見つ け、「かもしかさんだ〜〜」と私が一人登山道を離れ触りに行こうとしたら、ズボズボズボーーー!!と雪の中にはまって抜けなくなってしまった。積雪の深さ を思い知った瞬間であった。それまで人のラッセル後しか踏んでいなかったので、そのとき初めて雪山に触れた気がした。ラッセル? して登ってこそその山に登ったと言えると言う人がいるが、たしかにこれだけ雪が深ければ難易度は月とスッポンである。そしてあまり真面目に下山していない ようだが実は結構なスピードで歩いていたらしく、予想外に早い時間に赤岳鉱泉に到着。「アンザイレン君」(名前を聞いたが忘れた>ななこさん、覚えてます か?)に伝言をし、バスまで時間があるのでテントでぼーっと休憩した後美濃戸口に向かった。日差しが強く、テントの中はサウナ状態で、息苦しいほどであっ た。

登山口で長野県警に「昨夜赤岳天望荘に泊まりましたか?」と聞き込みを受けた。「お兄さん、この銀 マットが見えないの?」とは言わず、優しく「テントでした」と回答する。登山口にはパトカーが停まり、天望荘一時休業のお知らせがいろんなところに見受け られるただならぬ雰囲気。

今回は天気もやたら良かったし、厳冬期なのに暖かかったし、前代未聞の事件は起こるしで、正直夢を見 ているような山行であった。やはりしるこドリンクが売り切れていたときから、何か不思議な感覚に支配されていたのかもしれない。
しかし登山は登山。事故もなく、厳冬期の八ヶ岳をテント泊で極めたことは事実なので、それを新人の私に可能にしてくれたななこさん、つくるさんに感謝した い。
またきっと近いうち八ヶ岳に戻ってこよう、と思いながらタクシーで茅野駅へ向かった。
、、、、、(記 録:すずとも)

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