滝子山〜湯ノ沢峠〜川胡桃沢ノ頭
メンバー:ななこL  まみ

行程:5/12,13

12日(1日目) 7:56 笹子駅/8:10 笹子駅出発〜9:45 滝子山沢ルート入り口〜10:45 滝子山/大鹿山分岐〜12:00 滝子山/大谷ヶ丸分岐〜13:15 大谷ヶ丸〜13:50 天下石〜14:40 ハマイバ丸〜15:20 大蔵高丸〜16:00 湯ノ沢峠・避難小屋
13日(2日目) 9:50 小屋出発〜 10:30 白谷丸〜10:55黒岳〜11:40川胡桃沢ノ頭のふもと〜Uターン〜13:20 湯ノ沢峠・避難小屋

1日目
東京よりなお寒い、中央本線・笹子駅は、久々に見る小さな無人駅。飲料用の水道の蛇口、トイレあり。そこから、舗装路と林道を歩くこと約1時間半。滝子山 沢ルート入り口に到着。途中にあった酒造メーカーの販売店、開店前にもかかわらず、お店を開けてくれました。(お漬け物おすすめです。)

この山域は、熊が生息しているそうなので、今回は熊鈴を持参。沢ルートは、アップダウンが少なく、歩 きやすい道が続くので、美しい新緑を見ながら歩くことができました。地には落ち葉の絨毯、天には朴や楢、樫の若い葉っぱたちが、さわやかな緑の天井を作っ てくれています。紅葉の季節も、きっととてもきれいだろうな。すみれの花もたくさん咲いていました。

滝子山と大谷ヶ丸の分岐は、尾根を開いた原っぱのようになっており、少し休憩を取るのに気持ちがい い。今日の目的地は湯ノ沢峠のため、ここで15分ほどの休憩の後、湯ノ沢に行くため、分岐を左に入り、大谷ヶ丸を目指す。途中、イノシシが土の上でごろご ろした跡(泥浴)を発見。大谷ヶ丸の手前に一つ分岐があり、地図で見たところ、右ルートの方が時間を短縮できそうだと判断、右ルートへ。右ルートは、さほ ど急ではない上り坂を進んだ後、滝子山から大谷ヶ丸に向かう尾根と合流し、急登。ななこさんは、こごみを採りたいらしく何度も「あれ、こごみじゃな い!?」と、目をこらしていましたが、あるのはシダ類の幼い子ばかりで、肝心のこごみはなし。そのうち、食べられるかどうかわからない葉っぱまで、私に薦 め出すななこさん。恐れる私。

天下石あたりから、少しアップダウンが増え、風も強くなる。さきほどの春の風景は少し姿を消し、秋の ような枯れ草の丘のような場所があったり。ところどころ、豆桜がきれいに咲いていました。私の背よりも高い笹原に遭遇し、初めてのやぶこぎをしました。足 場はしっかりと踏み固められているため、ルートを外すことはないものの、やぶの中では急に熊と出くわすこともあるかもしれないし…と、必要以上に、熊鈴を リンリンリンリン鳴らしてしまいました。けれども、やぶの中で一度立ち止まり、ふと後を振り向いた瞬間、自分のザックの雨蓋が、熊の陰に見え、ひーーっ! と一瞬固まった後、慌てて、やぶを脱出しました。そのせいか、後からななこさんに「やぶこぎはうまいね」と褒められたので、理由を話すと、ななこさん、大 爆笑。

大蔵高丸で少し休憩を取る。晴れると眺望がすばらしいようだが、この日 はあいにくの天気のため、あたりはガスだらけ。ガスだらけの中、雨後の泥だらけの急登をずるずると泥に足を引っ張られながら、脇の樹を手がかりに進もうと するも、棘だらけの樹のため、手がかりにできず…まさに、泥坂地獄!所々、雪もありました。湯ノ沢峠の手前には花畑があり、6月頃にはスズランが咲くのだ そう。わずかながら、早い雲の流れの間に南アルプスの眺望を垣間みることもできました。流れる雲の間から見える山々は、まるで幻を見ているかのように、 あっという間に、雲にかき消されてしまいました。
今夜の寝床、湯ノ沢峠の避難小屋に到着。先客一名あり。小屋より2分ほ ど下った場所に水場あり。ななこさんが、ごはんの作り方をレクチャーしてくれ、先客さんの大学時代の山岳部の話しを聞くこともできました。小屋にも関わら ず、電気が通っており、トイレはバイオマストイレだし、なんとホットカーペットまである…!避難小屋とは思えない快適さ。布団も毛布もたくさんありまし た。しかし、夜中には氷点下になり、マイ寝袋の薄さを恨む夜。

2日目
台風2号が来ていたため、今日の山行をどうするか、検討の後、行ける所まで行ってみようと小屋を出発。湯ノ沢峠の十字路から黒岳に向かう道は、早々に笹や ぶが覆い茂り、さっそく薮こぎ。薮を出た後は、崩落した斜面の真横を通り過ぎ、また薮こぎ。途中、また泥地獄あるも、昨日の泥地獄で、ちょっとコツをつか んだ気がしました。

びっくりするほどにきっぱりと、白谷丸の森を境に、積雪あり。雪はあられをような粒だったけど、その 後固まりのような雪になっていった。黒岳手前には、落ち葉と雪のコラボレーションの平地も出現。雪の白と、落ち葉や木々の様々な茶色の組み合わせがとって もきれいな場所。

川胡桃沢ノ頭のふもとあたりまで進むと、雪の粒はどんどん小さくなり、 ずぶずぶと雪に足を突っ込みながら進むため、足の疲労もどんどん増して行く。頭上からは、樹に積もった雪が、風と重みでバラバラと頭を直撃してくる。所々 現れる樹の根っこ部分は、樹の熱で雪が溶けている部分もあり、周りからの雪解け水で、土がぬかるんでいる箇所もある。また、倒木が多く、何度も倒木をまた ぎながら、何度も倒木で頭をぶつけながら先へと進むも、11:40分頃、これ以上進むのは、この日の装備では困難だと判断し、川胡桃沢ノ頭のふもとで引き 返すことにした。この辺りに多い樹の表面のキズは、ななこさんが言うには、熊がひっかいた跡らしい。よくよく周りを見渡せば、何本もの樹に、同じように、 楕円形と線の引っ掻きキズがあった。
Uターンの帰り道、また、倒木に何度も頭をぶつけてしまう。歩くことに 精一杯で、前に倒木に出会ったことすら、覚えていないのだ!雪で滑る足下もおぼつかない。手袋は、倒木を乗り越える度に、濡れた木々をつかんだため、すで にぐっしょり濡れていて、指先はどんどん寒くなるばかり。けれども、一度通った道をまた行く安堵感からか、黒岳まではあっという間に引き返すことができ た。
白谷丸の林を抜けたところで、いっぺんに雪がなくなり、足下から地面の あったかさが伝わって来て、気持ちがほっ!!とした。林ひとつを境に、こんなにも温度が違うことに驚いた。小屋に到着後、小屋のすぐ側の水場を越えて、沢 づたいに、下山。下山後は、退屈な林道歩き。林道沿いには、廃墟と化した集落もあり、崩れ落ちた壁から、外壁が竹の骨組みと土の壁で出来ていることがよく わかる。昔の家は、今のコンクリートの家と違い、家が呼吸が出来る作りになっているんだと感心する。
林道歩きに飽き飽きしてきた頃に、農作業をしていたおじいちゃんが車に 載せてくれ、天目山温泉で下ろしてもらった。おじいちゃん、ありがとう。温泉の職員さんも、みなさんとても気のいい人たちばかりで、大きい荷物&汚い身な りの私たちにも関わらず、とても親切にしてくれた。お風呂のお湯も気持ちいい!その後、100円バスに乗り、甲斐大和駅へ。バスの中でも、運転手さんと地 元のおばあちゃんたちとの、のんびりした会話が心地よい。きれいに手入れされたバスで、結構な距離を100円で運行していることに、地元の人を大切にして いる街だなあと感じました。甲斐大和駅前で下車の後、駅前にある「居酒屋しんちゃん」に入る。そこのお店の方と、お客さんも、面白い人たちばかりで、その うちの1人、JAの職員さんは、地場産の果物の話しをたくさんしてくれました。お店の方は「電車なくなったら、この座敷に寝たらいいから」なんて言ってく れるし、最後には「おい、まみ!この焼酎を飲んでみろ!」と、焼酎をごちそうになってしまいました。地元を愛する楽しい人々に会うこともでき、大変満足な 気持ちで、また、えっちらおっちらと電車に揺られて帰京しました。思い返せば、この山域は、始まりは春で終わりは真冬。様々な景色で目を楽しませてくれ、 まったく飽きることのない山行でした。次は、大菩薩の方まで、リベンジしようと思います。
記録 まみ
chronicle
return
すばるM45山の会
.
subaru M45 alpine club
inserted by FC2 system