荒船山(西上州)
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上信越高速から見えるまるで空母艦のような山。西上州に
はおもしろい山がいっぱいあるが、なにせどの山もアプローチがよろしくない。 ずいぶん前に、表妙義縦走時に口の中がカラカラになる緊張感の連続は、今でも記憶にはっきりある。そしてカシューナッツ型の鹿岳のジェットコースターのよ うな上り下りと記憶がめぐる。 そのうち、荒船山〜鹿岳の縦走を計画して12年近くも過ぎていた。ひょんな成り行きで直前夜しんちゃんの新車で行く事が決定。 川越駅で合流、高速で国道よりきれいな舗装道路を進んで登山口2時間ちょっとで内山峠到着。線ヶ滝より立岩ルートが面白そうってことで考えたが、季節を変 えてまた次回ってことで。 |
内山峠の登山道入り口付近から |
駐
車場手前で、あの大絶壁が現れて感激。支度して歩き始める。上州の冷たい空っ風に顔がつっぱる中、冬枯れの裸の木々が美しい。西の山腹道を進んで右手に兜
岩山をながめ、落ち葉の下の道は所々凍っている痩せ尾根を慎重に歩く。右山腹へ出るとハングした岩壁が現れた。後で調べてみたら、鋏岩と呼ばれていた。修
験道場跡の立て札がある。時々トモ岩が姿を現すが、山頂の木々に霧氷が付いていて美しさに足が止まる。右へ続く道を進むと目前に大絶壁(トモ岩)に突き当
たった。 |
修験道跡地 |
修験道跡地 岩からのしみ出しがつらら状に |
な
にがなんでもこの200mはあるであろう岩壁の基部の近くへ行ってみたくなり左へ分け入ってみたら、踏み跡がついていた。岩基部にはこの時期だから入れた
けど、落石の危険があるので安易に近づかない方がよさそう。岩壁には、りっぱなつららや張り付いた落ち葉の氷面が迫力満天。10m上岩陰にバスケットボー
ルと見間違えるほどのりっぱなスズメバチの巣を見つけて写真撮ってから登山道へもどる。 |
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一杯水の看板裏から踏み跡をたどって岩の基部へ 圧倒されてのけぞる |
岩壁を回り込むと、大きなスズメバチの巣があった |
まんまる |
道
標では、一杯水となっているが今は完全に枯れていた。急なジグザグな岩の道は、しみ出た水が所々凍っていて危ない。登り切ってまっすぐな道になると一面に
雑木林と笹が広がる。これが荒船山頂稜?の風景。膝までの笹道を行くとトモ岩の立て看板。転落死亡事故発生と書いてある。「クレヨンしんちゃん」の原作者
が滑落事故した現場?確かに急にストーンと切れ落ちている。 |
登り切ってまっすぐな道に |
一面に雑木林と笹が広がる |
登山道へもどって先へ進むと東屋(閉まっている)が現 れ、左が展望台と書いてあった。想像していたより狭かった。今日はたまたま2、3人し かいなかったけど、ニュースの映像では混雑していたので別の意味で危険なのではと思った。崖の先端に近づくと冷たい風が下からわき上がってきて緊張感が迫 る。うちのしんちゃんのへっぴり腰姿がとてもかわいいので写真を一枚撮る。目線を上げると、左から雪をまとった八ヶ岳、浅間山、そしての妙義山など上州の 山々が見える。 |
トモ岩の上から 枝に霧氷がつく | トモ岩展望台 |
小
休憩後、南へ溶岩台地の平らな頂稜を経塚山へ向かう。ほぼ真っ平ら、途中沢も流れているようだが今日は枯れていた。まさに空母艦といった風景に3人では
しゃぎながら歩く。しばらく笹と雑木林の中を進んで行くと経塚山分岐と出合う。登りを歩いていると枝木に付いた霧氷が、風に飛ばされて頭や足下へ音をたて
てキラキラと舞落ちるさまに心を打たれる。10分ほどで経塚山山頂到着。15人くらいの登山客でごった返していたのでさらに南へ尾根を進んでピーク先端で
休憩。ここは、風もなく日だまりで暖かい。 |
霧氷がふりつもる(雪ではありません) | 経塚山山頂にてダック隊長 |
そ
の後は立岩への分岐まで岩の痩せ尾根のアップダウンやトラバースの道を行く。手作りの立岩の道標があった。時間に余裕があるので西立岩の近くまで行ってみ
る事にする。左側に毛無山が見えてきた。鹿岳まで縦走の途中にある岩山である。5、6人のパーティが立岩方向からやってきたので、話をしてみると、威怒牟
畿不動より上がってきたとのこと。2008年の崩壊で経塚山〜毛無山の登山道はたいへん危険で、ほとんど行く人はいないとのことだった。地元の方の情報と
私の2000年版エアリアマップとは、かなり状況が変わっていた。やはりレアな情報はきちんと持っていなければと痛感した。彼らは時間があればトモ岩まで
行くらしい。 |
立岩分岐 |
立岩への縦走路から毛無岩をみる |
小
休憩後13時近いのでこのピークより引き返すことにした。あの経塚山山頂までの登り返しはしんどいので、パスして星尾峠分岐より長い階段を行くということ
で進む。がしかし、2カ所道が崩壊して、落ち葉の下はなにもないという箇所をビビりまくって通過した。1カ所は通れないように、トラロープを切断してあっ
たようだ。怪我する前の私は、こわいとあまり感じなかったトラバースの通過が、今ではとても緊張するようになった。分岐で休んでいたあのパーティーが、尾
根道をいってくれればよいが。つくもがトラロープの端っこでも持てるように崩壊部へたらし直してから歩き出す。経塚山を左側にみてのトラバースは岩の崩壊
したゴーロ地帯を歩く。まるで切り出したような2mほどの石柱がころがっている。あまりにも人工的な石柱の上に誰かが小石を置いたらしい。確認しに行った
しんちゃんが、またいい形に小石を置いて戻ってきた。「そのうち、きっと道標になってきますよ!」って満足顔で写真撮っていた。 |
立岩への縦走路を少しすすんだピークから引き返す |
経塚山巻き道 柱状石理のくずれた岩がごろごろしている |
経塚山巻き道の崩壊部分 |
その後、階段を登り切って休憩していたら、例の4、5人
パーティーが経塚山下りてきた。崩落場所を知っていたかどうかはわからないが、いづれにせよ良かった良かった。そして西に傾いた美しい光を浴びてふたたび
トモ岩まで戻ってお決まりのダック隊長撮影。またしてもしんちゃんの一言がなければ隊長を置き去りにするところだったよ!行きでは浅間山山頂はガスの中で
あったが、今はくっきりと山容を見せてくれていた。明日から冬型の天気のようす。 |
ふたたびトモ岩展望台に立ち寄ると |
浅間山山頂がくっきりと |
本日の景色はあるようでなかなか出合えないと思えた。地 面には大量の落ち 葉、すべて丸裸の木々、枝先に霧氷、岩陰にはつららと氷。ぜひ季節を変えて何度も足を運んでみたい山と感じた。下山後はお決まりで温泉へ直行。下仁田温泉 は今日に限って空いてるらしかったようす。ゆっくり湯に浸かったあと、つくもが楽しみにしていた「みそ田楽」ともちろん「さしみこんにゃく」も頂いて、日 が短くなってとっぷりと暮れた道を戻った。 |
夕日を浴びながら帰途につく |
荒船山のトモ岩を振り返る |
すばるM45山の会 . |