八ヶ岳 阿弥陀岳中央稜 - 赤岳 - ツルネ東稜

日 程: 2015年 9月23〜24日(水木)
山域: 阿弥陀岳 中央稜 - 赤岳 - ツルネ東稜(八ヶ岳)
形式: バリエーショ ン(山小屋泊)
メ ンバー: ななこ(CL) つくも
記録: ななこ
行程: 23 日(水)ペンション発6:00〜船山十字路6:15〜南稜河原7:00〜二俣右俣7:30〜中央稜取り付き8:00〜中央稜2300m点8:45〜第1岩 稜下9:40〜第2岩稜下10:00〜御小屋尾根合流点11:00〜阿弥陀岳山頂11:12=12:10〜赤岳文三郎尾根分岐13:35〜赤岳頂上13: 55〜赤岳頂上小屋14:00(泊)
24日(木)赤岳頂上小屋発6:00〜キレット小屋7:34〜ツルネ8:25〜ツルネ東稜2450m点8:40〜2130m点9:30〜ツルネ東稜取り付 き10:17〜赤岳沢分岐10:46〜出合小屋10:50〜林道11:50〜天女山分岐12:25


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今年の秋のお彼岸は珍しく天気に恵まれた。そこで八ヶ岳 の中でなぜかまだ登っていない阿弥陀岳に行くことにする。赤岳頂上小屋からの眺めすばらしいと聞いてたこともあって1泊する計画をたてた。
1日目が沢筋からのスタートでアップダウンがきついコースでバリエーションの中央陵の時間が読めない。2日目もバリエーションツルネ東稜の下りでこちらも また時間が読めない。でも今回は2人だけなのでなんとかなるだろうと思い初めてのルートにワクワク。前日に原村の酒井ペンション http://www.lcv.ne.jp/~sakaip/ に入る。食事もフルコース(魚、肉)ハーブを効かせた味が絶妙。床暖の部屋で熟睡。
開業して40年という本物志向の快適な宿だ。しかも翌朝船山十字路まで娘さんに車で送ってもらいとても助かった。おかげで1時間半の短縮となる。

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舟山十字路より歩き出す
広河原橋をこえる


23日(水)船山十字路6:15より歩き出す。車が右路 肩に4台駐車してあった。八ヶ岳のなだらかな裾野を意識させられる林道を東へまっすぐ進み歩いて行く。両側の唐松林、紅葉し始めたななかまどを眺めながら 気持ちいい。10分ほどで右手に御小屋尾根分岐の道標を確認。そのまま直進。
広河原橋を渡り少し歩くと右に阿弥陀岳南稜分岐の道標も確認。中央稜は林道の終点まで進む。やがて河原のゴーロへ入り涸れ沢の左岸踏み跡を赤ペンキ方向へ 歩いて行く。一つ目堰堤の左を、二つ目堰堤は右からなんなく超えて行く。

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河原のゴーロ
阿弥陀岳がみえる
右俣を進む

30分ほどで二俣。予定コースの右俣へ入る。水がちょろ ちょろ出ているゴーロ帯を進んで行くと中央稜の末端らしき所にきた。ここから尾根に取り付きだろうが、ちょっと沢の先まで偵察してみると古い赤テープを発 見するも左の大きな尾根、前方上に南稜が見えるのでまた戻って尾根の先端から登ることにする。

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取付き付近
取付きから踏み後にはいる


しっかりした踏み跡とマークに従って歩き出す。かなりの急勾 配をつづら折に登る。苔むした岩、ダテカンバが美しい。やがて緩斜面に。地形図を確認すると2300mあたり。開けた草むらで休憩とする。右に立場岳の南 陵がすっきりとしたスカイライン。その奥に権現岳の稜線が平行して走っている。朝日の下に大きな雲海が漂って西に北アルプスの大キレット、槍ヶ岳などはっきり見える。久しぶりの高山の景色に癒される。

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阿弥陀岳
尾根の合わさったところを振り返るとケルンが積んであった


9:40に第1岩稜の直下に到着。ここは右側からトラ バース。足下は草付きの切れ落ちている高度感のあるガレなので慎重に足をおく。

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第1岩稜の直下、右側からトラバース
ガレをつめる
尾根に上がった地点を振り返る

10:00に第2岩稜下を左より巻いて通過するが、最後 が急な草付きでここで落ちたら奈落の底までいきそうなのでここも慎重に上がっていく。岩稜上に着いて後ろを振り返ると、登ってきた中央稜がはっきり見え た。
 
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第2岩稜下を左より巻く

中央稜を振り返る

左に御小屋尾根が深い谷を隔てて平行に走っている。その 御小屋尾根を単独の男性が下って行くのが見えたので声をかけてたら両手で大きな丸を作ってみせた。後ろから男女の2人が声を返してくれた。なんか親近感が 湧いて気持ちが和む。私達はと草付きの急斜面をふうふう言いながら阿弥陀岳の頂上を目指して一歩一歩登る。踏み跡はしっかりしているので問題はないが、高 度感はさすがに感じる。やがて最後の岩稜の左より空中にちょっとハングッた岩を緊張して3、4手上がったら御小屋尾根登山道の合流してほっとした。

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御小屋尾根に合流する
御小屋尾根に合流する

山頂はもう少し西へ進む。高度感のある梯子とクサリを抜 けると丸い山頂に到着。3人の単独者、しばらくすると南陵より3人組が現れた。お互いに写真を撮り合って情報を交換しあう。360度のパノラマと赤岳縦走 路がはっきり見える。山肌の木々が紅葉が始まっていて美しい。この好天に感謝する。1時間もゆっくり休憩していたら私達だけになっていた。

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阿弥陀岳の山頂
阿弥陀岳から赤岳をみる


12:10阿弥陀岳から赤岳へ向けて歩き出す。が、まあ 山頂直下の急斜面で足下からガラガラの平たい岩がどんどん崩れていく。しかも真下のコルまでクサリも無い。2、3人登ってくる人に落石させないように細心 の注意をはらう。でも私の後ろから下りてくるつくもが要注意なのだ。なにせけっこうな前歴があるからね!やがて激登りで疲れた太ももが今度は激下りでツリ 始めだす。そういえば今年の冬に遭難がおきていたことを思い出し強風の中ガリガリの氷で厳しかったことが想像できた。ようやくほっとできる地点まで下りて 時計をみると30分あまりしかたってないのに驚く。かなりの消耗でヘタルように休憩する。

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阿弥陀岳から急斜面をくだる



左に行者小屋への分岐の標識がありみなさんそちらへ向 かって行く。私達の行く手には見上げる二つのピークがきれいな青空の中にあった。ふたりともただただ黙々と疲れ切った足を前に進める。13:55赤岳山頂 に到着。以前よりりっぱになった赤獄神社の祠に無事手術成功した山仲間の健康回復を願った後、楽しみにしていた小屋の中へと入る。食堂からの景色がすばら しく
窓の前に釘付けになってしまう。連休最終日なので宿泊者は約25人くらいでゆったりしていた。消灯が20時でも足が疲労していたのでふたりとも5時まで爆 睡。

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赤岳へ
赤岳頂上
赤岳頂上から阿弥陀岳

24日(木)きれいな朝日を横目でとらえながらカップ ラーメンかき込んで6時に小屋を権現岳をめざして出発する。明け方吹いていた風もおさまり暑くも寒くもない。そして今日はただ下るのみ。後続はいないけど 念のためヘルメットをかぶることにする。

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小屋からきれいな朝日
赤岳から横岳、硫黄岳方向


しっかりした岩場をごきげんにつくもとどんどん下って行 く。そして高度感抜群の天狗岩付近のクサリの横になぜか絶壁に向かって空中へ梯子が垂れ下がっている。もしガスッていたらと考えたらぞっとした。足場の悪 いトラバースを慎重に抜けて沢筋のガレ場を下り始めた頃、3、4人が登ってきたので石を落とさないようていねいに下りる。背負子を担いだ男性が声をかけて きた。「僕これから登山道の整備もやってくるので小屋は誰もいませんが、入り口にお茶を用意してあるのでどうぞ飲んでください。」と。親切な言葉に感謝し て別れる。

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高度感抜群の天狗尾根をみながらキレットヘ



7:34キレット小屋に到着。玄関先に置いてある暖かい お茶とラムネ飴を一個ずつ頂いたので忘れずチップを入れる。ついでにテント場の様子を見に行くと2張りあった。水はちょろちょろしか出てないと情報をもら う。小屋よりツルネへ向かうが、はいまつの樹林帯の登りがつらいのは、昨日からの積算した足の疲労と年のせいだろう。北峰を過ぎ南峰にたどり着いたら出合 小屋への道標がたっていた。

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キレット小屋
ツルネ東稜への分岐 向こうに権現岳

はいまつの中に薄く踏み跡が東の尾根と付いている。ここがツルネ東稜の 入り口と確信したので休憩と地形図でルートを確認する。このルートも初めてなのでワクワクだ。しっかりした踏み跡を20分くらい下ったあたりで尾根が少し 不鮮明になるが、右へしっかりとした踏み跡が続いている。ここだな!キレット小屋の男性が気をつけるようアドバイスしてたとこだ。2450m地点。つくも と確認し合って薮に隠れた頼りない尾根を忠実にとどって進む。やがて右からこちらへ合わさってくる踏み跡を見つけると何ともいえない読図の醍醐味を味合う のは心地いいね。

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ツルネ東稜へはいる
2450m付近 右に踏み後があるが、尾根の分岐を左へ進む
尾根を進む

そ の後急な細尾根を下って2200m地点あたりと思われるが巨岩が現れその右をきわどく巻いて下る。ちょっと傾斜が緩んだので休憩をとる。2130mあた り。「やっぱり国土地理院がおかしいよね?このきわどい細尾根がない。」と私が言うとつくもが、「きっとマイナーな所だから端折ったんだよ、きっと。」で も今日の読図で一番かんじんな箇所が抜けているとまずいよね。確か大谷ヶ丸北尾根でも尾根の記述が無かったことを思い出した。

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きわどい細尾根
2130mあたりで休憩


そ の後順調に尾根を下っていくと左の地獄沢から水の音がしてきた。2040mあたりで道標が現れ、右に上ノ権現沢の深い谷が見えた。最後の急斜面を下りると 開けた沢の二俣へ飛び出た。ツルネ東稜の道標を発見。後はしっかりした赤ペンキに従って広い河原の右岸、左岸と徒渉を繰り返して10:50に出合小屋に到 着。ちょっと小屋の中を隙間から拝見するときれいに掃除がされていて薪ストーブまである。表に高根山岳会と表札がさがっていた。みんなが冬の天狗尾根登攀 に利用されている小屋なのでしょう。

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沢に降りてツルネ東稜の道標を発見
徒渉
出合い小屋

そ の後何度か徒渉を繰り返し堰堤を右左と5、6カ所越えて腰辺りまでのクマザサを漕いで行くとようやく林道へ到着。時計をみると11:50。思ったより早め に着いた。周りは人の気配がまったくなくて、鹿や小動物の骨や毛が散らばっている。こういう風にして土に戻っていくのであろう。林道を歩き始めてしばらく すると雨が落ちてきた。これも予定どおりなんだよとつくもに自慢する。後ろを振り返ると山々はもう厚い雲の中に隠れていた。

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何度も徒渉を繰り返す

天女山分岐

12;25に林道の入り口まで きたところで傘をさして歩く。道の両側は低いクマザサと細い広葉樹林が延々と続いてる様子は、今は俗化してしまったかつての上高地に似ている。天女山分岐 から約1時間で美し森駐車場へ到着。下山連絡後、清里駅近くで温泉に浸かって雨の中を走る小海線で小淵沢駅へと向かった。前回、丹沢のロングタイムコース を歩いた甲斐があったね。でないとバテバテだったよね。と、隣でかつ弁当を夢中に食べてるつくもと話しながら今回の山行に満足と達成感で帰京した。

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