阿弥陀岳南稜 P3直登(八ヶ岳)

日 程: 2017年10月 9日
山域: 阿弥陀岳 南稜 - 御小屋尾根(八ヶ岳)
形式: バリエーショ ン(アルパイン)
メ ンバー: ななこ(CL)ゴロー ざく
記録: ななこ
行程: 9 日(月)船山十字路5:33〜南稜広河原取り付き6:15〜立場山7:50〜青ナギ8:30〜無名峰8:58〜P39:45〜P411:40〜阿弥陀岳 11:52〜摩利支天12:12〜御小屋山13:56〜美濃戸口15:17(全行程約9時間45分)


ちょうど2年前に中央稜から阿弥陀岳へ登った時  来年は南稜だと計 画立てていた。夏に北アルプス縦走などコンディションバッチリのゴロー君も参加。私とざくも20年ぶりにアルパイン。ゴロー君は初体験。3人での登攀は初 めての経験となるので時間も余裕をみて、体調も万全で楽しむことにした。昨年お世話になった酒井ペンション に前泊と決めこんだ。原村ペンション村の中で家族経営で35年以上という正に老舗?の宿。ご家族全員 芸術家でいらっしゃる。そして娘さんの薫さんの料理がすばらしく、実をいうと私は山よりも楽しみにしているほどである。それと朝早出の山屋さんには登山口 近くまで送ってもらえることが大事なのは言うまでもない。もう以前のようにテントやクライミングのガチャやロープなど担ぎ上げる気力も体力もすっかり無く なってきた私にはまことにありがたいかぎりである。これからも季節を変えてまたぜひ利用させてもらいたい。

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舟山十字路まで送ってもらう
林道を進む


薫さんの運転する車で船山十字路5:30到着。やがても うすぐ夜が明けそうの中、ゲートの横から入り歩き始める。駐車場には10台くらい満車状態。連休で好天気の中、P3で渋滞すると帰りのバス時間に間に合わ ないと困るので急ぎ足で歩く。広河原橋の先に南稜への目印があったことを以前に確認しているのでその前に朝食を済ませるとする。

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南稜広河原取付き
急斜面
南稜の稜線にでる シャクナゲがめだつ

しっ かりとした踏み跡が続いているので問題はないが、宿のご主人から鹿罠があちこちに仕掛けてあるから用心するようにと言われていたので踏み跡を外さず自然に 3人縦列は崩さなかった。奥様がつい最近罠にかかってしまったらしい。さいわい怪我はなかったとのことだが読図山行好みの私達には緊張する話であった。な んでも罠に赤いリボンが巻いてあるとのこと。そういえば、あちこちにリボンがあったような。沢沿いの道から急斜面を上がりきると立場山へと延びる尾根に取 り付いた。

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立場岳にて

すっ かり明るくなった静かな樹林帯の中をどんどん歩いて立場山7:50到着。途中単独男性が前を登っていくのを確認。立場山の山頂は樹林帯の中だが朝日が木漏 れ日となってすがすがしい。そこに横浜から夜中2時から車をとばしてきたという女性2人が休んでいらした。P3は岩溝(ルンゼ)から登るらしい。私達は直登すると 話すといいなあと言われてなんだか嬉しくなってきた。彼女たちと入れ替わりに休憩をとる。どうも直登するパーティは私達が一番目のようだ。3人で登るから 時間がかかるはずなので後続に迷惑がかからぬよう早めに出発とする。

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右に権現岳

青ナギ 前方に阿弥陀岳

青ナギ8:30到着。そんなに青くもない急斜面の細尾根を通過してその後、樹林帯の中に岩がごろごろでてきたアップダウンの尾根を歩き進む。岩にびっしりと苔が生えて光を受けキラキラと美しい。

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無名峰
無名峰付近

無 名峰8:58到着かな。はっきりしないピークに棒が1本立っていて字が消えているのでよくわからない。アップダウン進んで行くとやがて視界が開けて左に権 現岳が、ツルネに人のシルエットがはっきり見える。この角度からの権現岳を眺めるのは初めてだ。稜線の東から真横に光があたってなんて美しいことだろ う。右に、中央稜がくっきり姿を現し2年前岩稜帯の左をトラバースして登った記憶がよみがえる。その奥に帰りに下山予定の御小屋尾根が見える。「ゴロー君 がこの夏に縦走で歩いた尾根だね」というと「そうっすねえ」とニコニコ顔で眺めている。自分の歩いた尾根を別の尾根から見るのはなんともいいもんだなと常 に感じるのは私だけ?。天気予報によるとこの2日だけが好天に恵まれるらしい。ここは晴れ男のゴロー君に感謝です。
 
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ここでヘルメットを装着
左に中央稜


空 気が冷たく感じるも手袋をするほどではないが、風よけにカッパの上だけ着る。P1の岩場はスムーズに越えてP2はP1より大きく草付き混じりの立った岩場 を左より四つん這いで這い上がりピークに立つと目の前に南稜P3がみえた。360度の絶景、さえぎるものいっさい無し。

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P1
P2
P3 直登ルートは左のスカイライン

尾根の左側に付いている草付きのなだらかな踏み跡を進んで行く。左はすっぱり切れ落ちているがしっかりと踏まれているので問題ない。

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草付きをトラバース
P3直登ルートの取付き
P3を直登します(1ピッチ目)

い よいよ南稜P3直登ルートの真下に到着9:30。中級コースザイル必要のかんばん発見。久しぶりに味わう高揚感が全身にみなぎってくる。巻きの岩溝(ルンゼ)コースは左に進むらし くきわどいトラバースがみえ隠れしている。尾根の左に顔をだすと凄まじい突風が頬を叩く。風を避けて岩の右下で小休憩した後、装備をつけたりロープの準備 をする。横で緊張しているのかゴロー君が8の字結びに苦戦中。「あれなんで?あれ?いつもできてるのに・・・」とつぶやいていたが、だんだん落ち着きを取 り戻してきたらしく笑顔が戻る。

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我 々がわさわさ準備をしている中、3人パーティが左の岩溝(ルンゼ)コースへと向かって行った。結局ロープ使用で直登するのは本日私達のみのようだ。落ち着 いてクライミ ングできるしこのすばらしい天気の中めいっぱい楽しみましょう。いろいろ検討した結果、3人で登るのでトップのざくがロープ2本引いて登って初体験のゴ ロー君がセカンドでいき、ラストをカラビナ回収しながら私が登ると決まった。私へのコールがきた時は、ずいぶん待たされて風で体の芯まで冷えてしまった。 1ピッチ目は出だしがすこしかぶっている箇所があるが、手がかり足がかりはよりどりみどりで岩も安定していて何の問題もない。途中岩にシュリンゲでかけ た1本と古いリングボルトにかけたランニングを回収して上がってみると、確保支点があまりなく少し上にあがったハイマツでセルフビレーをとった。

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1ピッチ目の終了点
1ピッチ目の終了点にて
2ピッチ目はロープが要らない程度 終了点から振り返る

2ピッチ目はほとんどロープは要らないほどの傾斜で終わった。ざくがトップをやってくれたことに感謝しつつ振り向くと登ってきた尾根が長々と麓へと延びている様子がみえた。ここで2本のロープをかたずけてP4へ進む。

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P3からP4へ向かう
P4の足下から左へ巻く
狭くてきわどい足場をトラバースする

P4は上方は岩がかなりガラガラでP3より手強そうである。今回は予定どおり左のルンゼより巻いていく。時間は11時38分になっていた。ひえ〜2時間半近く もかかってしまった。3人でのクライミングが初めてであったことで、かなりロープさばきに手間取ったことが原因であると思われる。予定山頂到着を12時と 決めていたのでここからはガンガン立った急な岩場をせり登ったり少しハングッったきわどいトラバースを進んで行く。

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登ってきた南稜を振り返る 向こうには権現岳


岩を落とさないように慎重に足を置けば、踏み跡はしっかりついているので問題ない。山頂到着11時50分。後で2人にスピードが速すぎたと文句を言われたがバスに乗り遅れたらまずいでしょ?

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阿弥陀岳の頂上にて
摩利支天
御小屋尾根をくだる

10分休憩後に小屋尾根へと下り始める。摩利支天への梯子を越え中央陵との分岐点を確認して急な岩稜帯をどんどん下って2500mあたりで森林限界に入った。

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不動清水の入口
シャクナゲがめだってくる
御小屋山

ハ イマツ帯からダケカンバに変わってきたあたりに不動清水の大きな標識が現れた。この辺りから例の財産区の境界標識と赤ペンキの4区がまた数多く出現する。 ずいぶんと緩やかな道になりやがて平坦な山稜の御小屋山13:56に到着。ここまでくるともうバスに乗り遅れる心配はなくなって一安心。

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舟山十字路との分岐を美濃戸口方面へ
別荘地を通る
美濃戸口

休憩をとってから歩き始めるが、足の裏が痛くなってき た。2人もそうだという。それもそのはずここまでの行程9時間を越えている。とはいってもじっとしていた時間が2時間半だけどねっとおしゃべりしながらガ レ場を過ぎ、混交樹林帯を過ぎ緩やかなカラマツ林を抜けると明るい広場に出た。ここからは急に文明社会に飛び出た感じで別荘地内の広い舗装道路を標識に導 きかれて久しぶりの美濃戸口の八ヶ岳山荘前バス停に到着したのが15:17。バス出発時間の1時間前に到着となった。ソフトクリームをなめながら溢れんば かりの登山客にやはり秋の行楽シーズンを実感した。


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酒井ペンションにて



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