西穂高岳(北アルプス)
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23日 穂高は山のスケールが大きいなと思う。天候もよさそうなので早くも興奮気味になる。振り返ると何年も来ていなかった。久しぶりに来てみたら外国の観光客がたくさんでびっくりします。 ロープウェイの駅から外に出ると、いきなり深い雪道。外国人でにぎわっているが少し進むと静かになる。りっぱなオオシラビソの樹林のなかを進む。1時間ちょっとで小屋が見えて稜線に出た。 |
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快晴無風。こんな日はめずらしく明日の予報もどうみても最高なので、思わずむふふふと笑みが出てきます。時間はたっぷりあって周囲の絶景に目をうばわれるが、明日のアタックにそなえて今日はそこそこに。小屋でゆっくりしておきます。 24日 4時半に起きて出発は5時半からとする。お弁当を小屋で食べてから出発。日の出もずいぶん早くなったので、明るくなってからの出発。快晴無風の絶好のコンディションだ。 |
アイゼンを効かせて快調に雪面を登る。小屋からひと登りすると大きな尾根がはっきりとしてくる。背後に焼岳とその向こうの乗鞍がせりあがってくる。 |
誰一人いない広い雪面をゆっくりと進むのは爽快だが、怖いような迫力に圧倒されそうだ。前方からの日をあびて逆光の雪面が美しい。 20分ほどで丸山へ、次第に苦しい登りになる。ななこさんは最近の筋トレの成果が出てピッチがはやい。こっちはバテバテになってしまうので困ります。 |
独標直下 |
やがて黒い塊のような独標(11峰)が近づく。手前で登山者とすれ違って立ち話をする。精悍な感じの方だったが自信がないので独標で引き返すとのこと。 直下に立って見上げる独標は、想像よりもずっと急峻で垂直な岩壁のようにも感じます。雪が少なく残念だが、岩の間の雪面が上までつながっている。一歩一歩 たどっていくと足下の雪にアイゼンがしっかり決まり、岩角はたくさんあるので着実に登って岩の上に到着。とりあえずノルマ?を達成。 |
独標から |
さてこの先どうしますか?コンディションは最高。ここの岩場の下りがこなせれば可能性があります。ななこさんも引き返す気持ちはないご様子。なんとかなりそうなので一歩一歩クライムダウンしてみる。 ところが少し下ってみると、北向きなので凍結した部分があり、かちんこちんの氷にびびりがはいります。幸い岩に手がかりがたくさんあるので、しっかりアイゼンを効かせ慎重にコルに降りる。 |
独標から |
独標からのクライムダウン |
次
の小さな岩峰(10峰)にのぼり、その下りも同様に凍結が。距離は短いが傾斜があり、なかなかきびしい。凍結した岩場をクライムダウンすると、だんだんな
れてきたのかこの先トレースのついた雪面は快調に進む。順調にピラミッドピークが近づいてくる。もしかしたらピラミッドピークまで行けるかもしれ
ません。 |
ピラミッドピーク手前の急雪面をダガーポジションで |
ピ
ラミッドピークの少し手前には核心のひとつともいえそうな急峻な雪面がある。適度に締まった雪面をダガーポジションで突破する。急雪面をのぼりきって、ひとり
の登山者とひょっこり出会う。「気温高めの予報なので3時半出発で頂上往復してきたけど雪は少なく岩登りでしたよ」とのこと。雪が緩くなるのが気がかりな
ので私達も先を急ぐことにする。 |
ピラミッドピーク(8峰)に立つ |
ほどなくピラミッドピーク(8峰)に立つ。 とうとうここまでくることが出来た。大絶景のなか、アップダウンの複雑な尾根を進んでいくと目眩がしてくるようだ。目的を達成して大満足だが、最高のコンディションにななこさんも引き返す気がまったくない。 |
7峰へ |
7峰を小さくまく |
次、7峰へ雪壁を大きく登り返し、頂上を小さくをまく。岩場は露出しているのでアイゼンのツメを岩角に丁寧において慎重にトラバース。 |
トラバース |
7峰をこえると、飛騨側の雪面をトラバースするパートが多くなる。アップダウンを繰り返しながら雪面をトラバースし、岩稜の雪が露出して岩場になったところをアイゼンで乗り越えることの繰り返しになる。 たいへんな場所をトラバースしていくのだが、今日の雪面は歩きやすく、トレースも明瞭。慎重でなければならないが、ピッチを上げてどんどん進む。どちらかといえば露出した岩場でアイゼンさばきがとっても煩わしい。 |
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トラバース |
下から見上げると、西穂高頂上の手前にチャンピオンピーク(4峰)という大きなピークが目立っていたが、近づくとはっきりとしたピークではないらしく、気がつかないまま通りすぎる。 |
トラバース |
さらに3峰、2峰をトラバースして最後の核心の頂上直下にでる。 |
トラバース |
ルートは急峻な雪面の直上でステップも出来ているが、ななこさんがとてもいやがる。たしかに急なスラブの上にのっただけの薄い雪面は気温が上がれば簡単な衝撃ではがれてしまうかもしれません。(自分の意見としてはまだまだ危うい状態ではないと思ったのだが) |
西穂高岳の頂上直下 左雪面のさらに左の岩場にルートをとる | 急な雪面を渡って左側の岩場をのぼる |
急峻な雪面をトラバースし、雪面左側(西側)の岩場を登ることにする。(夏期の登山道) 途中、手がかりの少ないスラブをアイゼンでのぼるのはかなり大変だ。下りは大丈夫かなと心配しながらもアイゼンを慎重に運んで頂上に立つ。 |
西穂高岳頂上 |
西穂高頂上をふむことができて大感激。快晴無風の頂上。自分達だけが独占したかのような大絶景はみなさまに申し訳ないくらいだ。 |
頂上直下の岩場をクライムダウン |
クライムダウン |
しかし楽しむのも早々に下山へ。 体を下方に向けてふみ出すと、いくつものピークが重なって下方に一直線に落ちて行くような浮遊感です。 帰りもさっきの岩場にルートをとってクライムダウン。最初はやさしいが、スラブ状の部分がなかなかたいへんだ。ななこさんはこんなのが得意で自信満々。 よどみなく華麗に降りていきます。途中から岩場を離れてトレースを渡るのだが少し下りすぎてしまったので、雪壁にアイゼン前ツメを蹴り込んでダガーポジ ションでトラバース。ここが今日一番緊張した場面。安定したところまで降りると、のどがからからです。 |
トラバース |
この先もまだまだ安心はできないけど、こなれてきて簡単に感じるようになる。 飛騨側の雪面トラバースの下りは、ステップが安定し不安もなく通過。岩場のアイゼン通過にもなれてきた。 |
休憩中 |
やがてピラミッドピークが近づき、ピークの上に2名の登山者がみえてくる。ずっとだれとも会っていないので、それだけでうれしい。アップダウンを繰り返してピラミッドピーク(8峰)に到着。 |
7峰付近 |
ピラミッドピークに登り返す |
ピラミッドピーク |
さらにひと下りしたところで雷鳥が。先ほどの2名がカメラを向けていた。 夏期の茶色い姿とは異なり真っ白い羽根が美しかった。こっちを向いたときに目のまわりが赤く釣り上がっている。しばらくカメラの被写体になった後、はねを広げて立派な飛翔で飛去る。 |
雷鳥 |
10峰への登り返し |
ピラミッドピークのすぐ下、急な雪面のクライムダウンでは、少し雪が緩んできたので慎重に。後ろ向きになりダガーポジションで降りる。 2名のパーティーはひとりが初心者なのでロープを出して下降する。見事なロープさばきなので、ただものではないような。なんと77歳の高齢な方なのですが大変な実力の方のようだった。(もっと自慢話をききたかった) |
独標への登り返し |
独標からの下降 |
こ
の先は小岩峰(10峰)と独標(11峰)の登り返しの氷結が気がかりだったが、今度は登りのパートなので問題なく通過。調子にのっ
ている場合ではないが、だんだん上手になったような気になる。独標からの下降をおえると簡単になってあっという間に降りて行く。 |
西穂高山荘 |
ここまで下れば安心。広い尾根をゆっくりと小屋に向かって降りて行くのは気持ちがいい。ここからは多くの登山者とすれちがう。 頂上から西穂高山荘小屋まで2時間、11時には小屋に到着。出発してからわずか5時間半なのに、あらゆることがコンパクトに凝縮された行程。ものすごい体験をしてきたような気分になる。シーズンを変えてまた何回も行きたい。 早々に荷物をまとめて小屋を出てロープウェイまでは1時間。ロープウェイ駅に近づくと、ふたたび外国人だらけの喧噪のなかへ。平湯のバスターミナルで温泉に入って帰宅しました。 |
すばるM45山の会 . |